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夏にも寒天作りが体験できる!?寒天体験ツアー

夏にも寒天作りが体験できる!?寒天体験ツアー

2021.05.18
寒天を押し出す様子 寒天を押し出す様子

夏にも寒天作りが体験できる!? 寒天体験ツアー

新たな取り組み”寒天体験ツアー”

寒天作りと言えば、寒い冬の時期に外に干すことで冬の染み入る寒さを利用し、凍る・溶けるを繰り返すことで作るのが一般的ですが、有限会社イリセン(以下イリセン)では昨年から新たな取り組みを始めました。2020年4月に大きな業務用冷凍庫を購入し、冬には寒天の材料の天草を洗う水槽を、春から秋にかけては寒天作りの体験スペースとして使用しています。「伝統や歴史を伝えていくことが大事。それを伝えていくことができるのはこの諏訪地域だと思っています。」とイリセン代表取締役茅野さんは話します。

体験してもらうことで寒天づくりの”伝統”や”歴史”を伝えていきます

この日は県内の中学生が21人、2班に分かれてマスク・手袋の着用、アルコール消毒を徹底して体験をしました。
「この地域は寒天作りが盛んで、寒天を使ったまちづくりを行っています。寒天には糸寒天、粉寒天と棒寒天の3つの種類があります。諏訪地域で寒天というと棒状のものを指します。それはこの地域の冬の寒さが棒寒天のように大きな形のものを作るのに向いていて、昔から作られているからです。寒天は天然で自然のものですので、健康にも美容にもとても良く、あらゆる食品の中でもNo.1の食物繊維含有率ですので、低カロリーでダイエットにもオススメです。」
と茅野さんの話に皆メモを取りながら真剣に耳を傾けました。

 

春~秋にかけては1日に約500本の棒寒天を作られるそうです。普通寒天づくりをする際には大きな窯で大量に煮込むのですが、このように少量でも作れるようになるには技術が必要で3年ほどかかったそうです。

寒天づくりの伝統に直に触れる体験
1日300kg程の天草を洗います。逆に回転させると自動的に出てくる仕組みになっています。
1日300kg程の天草を洗います。逆に回転させると自動的に出てくる仕組みになっています。
この大きな窯で煮るのは約3時間ですが、沸騰するまでに約2時間かかるそうです。これだけ大きい窯なので、人の手でかき混ぜるのではなく、沸騰した水の流れでかき混ざります。
この大きな窯で煮るのは約3時間ですが、沸騰するまでに約2時間かかるそうです。これだけ大きい窯なので、人の手でかき混ぜるのではなく、沸騰した水の流れでかき混ざります。
ここでは皆袖をまくり、生の寒天に天切り包丁をさして切る体験をさせてもらいます。切って、離して、型枠に1本1本入れる作業を皆「すごい」と言いながら恐る恐る型に入れました。
ここでは皆袖をまくり、生の寒天に天切り包丁をさして切る体験をさせてもらいます。切って、離して、型枠に1本1本入れる作業を皆「すごい」と言いながら恐る恐る型に入れました。
生の寒天は普段触れることがないため、1本持ち上げるだけでも滑ってしまったりとても難しいですが、慣れた方だと一度に5本ほど持って型へ移していくそうです。
生の寒天は普段触れることがないため、1本持ち上げるだけでも滑ってしまったりとても難しいですが、慣れた方だと一度に5本ほど持って型へ移していくそうです。
大型の冷凍庫
春~秋にかけても寒天作りをすることができます。
大型の冷凍庫 春~秋にかけても寒天作りをすることができます。
手前が冷凍庫で冷やし凍らせた寒天で、
奥が天日干しで解凍と乾燥を繰り返した寒天です。
手前が冷凍庫で冷やし凍らせた寒天で、 奥が天日干しで解凍と乾燥を繰り返した寒天です。
1本1本丁寧に天突き用の道具に棒状の生寒天を移して、途中で折れないように押し出します。
1本1本丁寧に天突き用の道具に棒状の生寒天を移して、途中で折れないように押し出します。
天突きで押し出された生寒天です。
天突きで押し出された生寒天です。
突きたての生寒天と温かいスープに入れてそのまま食べることができる「かんた」の試食ができます。
突きたての生寒天と温かいスープに入れてそのまま食べることができる「かんた」の試食ができます。
ツアーに参加してもらった人に紙袋にツアーの感想や、新しい商品のアイディアを書いてもらい、その袋に商品を入れて販売をしています。これまで約20,000枚出来上がり、なんと袋に書いたアイディアが商品になることもあるそうです。
ツアーに参加してもらった人に紙袋にツアーの感想や、新しい商品のアイディアを書いてもらい、その袋に商品を入れて販売をしています。これまで約20,000枚出来上がり、なんと袋に書いたアイディアが商品になることもあるそうです。

イリセンさんは、諏訪地域の伝統産業である寒天づくりを残していきたい、盛り上げていきたいという想いから、様々なことに取り組んでいます。例えば、棒寒天ではなくて意図的に小さいサイズのものを作り、食物繊維が豊富で調理に手間をかけずそのままスナック感覚で食べられる「おかしなかんてん」や、温かいスープなどにそのまま入れて食べられる「かんた」の開発や、直接伝統産業に触れることができる「寒天狩り」「寒天体験ツアー」を開催しています。

ツアーの詳細については下記リンク「茅野旅アクティビティ」をご覧ください。
茅野たびアクティビティ

モノがたりに参加した
立役者からのコメントComment

有限会社イリセン代表 茅野 文法

「一般的に寒天は、冬の期間だけ作るもので、また、メインの料理にはなりにくいため、あまり知らないという人が多いと思います。しかし、このように知りたいと思ってくれる人がたくさんいることに自分自身も驚いています。ツアーを開催したりすることで寒天の認知を広めていくことが、寒天や伝統産業を守っていく手段だと思っているので、地域全体で盛り上げていきたいと思っています。これまで沢山の方から、ツアーでの体験や商品について満足してくださっているという感想を頂き、それが自分自身の大きなエネルギーとなっています。皆さんも今日体験したことをぜひ記憶のどこかに残しておいてもらいたいと思います。」

profile

有限会社イリセン 代表取締役。1980年10月16日、長野県諏訪市生まれ。子どもの頃からの夢はプロサッカー選手。武蔵大学付属信州工業高等学校→大原学園JaSRA→卒業後は社会人として実業団でプレー。
2009年に有限会社イリセンに入社。専務取締役を経て2017年に代表取締役に就任。
会社方針は「長い歴史の中で受け継がれてきた伝統を守りつつ新しいことに挑戦し続ける」
サッカーで培った体力と斬新なアイデアで寒天産業に革命を巻き起こす。

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