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ヘーゼルナッツを諏訪の名産に! ~Het'sの挑戦~

ヘーゼルナッツを諏訪の名産に! ~Het'sの挑戦~

2024.04.18

世界3大ナッツの一つ~ヘーゼルナッツ~

ヘーゼルナッツというと皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか?ヘーゼルナッツはアーモンド、カシューナッツに並ぶ世界3大ナッツとして、世界中で親しまれています。主な原産地はトルコで、日本で流通するヘーゼルナッツのほとんどがトルコ産です。
ヘーゼルナッツはクッキーやチョコレート等のお菓子に用いられ、香ばしさや香りが特徴で栄養価の高いナッツです。
今回は、諏訪産のヘーゼルナッツを作りに奮闘しながら、アイスを始めとするヘーゼルナッツを使用した魅力あふれるお菓子を作られているHet'sさんを取材しました。
飲食店経験ゼロからのスタート

きっかけはテレビ番組

当時を振り返るHet's((株)コナミ農産加工)の藤森社長

元々、製造メーカーに勤務し、仕事漬けの日々を過ごしていましたが、定年の時期が近づくにつれ、実家の農地の活用を考えていく時間が増えました。

あるとき、テレビ番組で後に私の師匠となる岡田浩史氏の活動を拝見しました。その内容はヘーゼルナッツを長野市で栽培し、収穫したヘーゼルナッツを使用した生アイスとして販売して、お客さんにとても人気となっているものでした。

おまけにヘーゼルナッツは特別な水やり・肥料・消毒が不要とのことで、農地の活用を検討していた私にとって渡りに船でした。

「60歳を前にスタートしたい!」そう思っていた私はすぐさま行動しました。しかし相手は放送後には周辺の道路に渋滞が出来るほど、行列が出来る超人気店。会って話を聞いてもらえるだろうか・・・という一抹の不安を抱えていました。

開業に向けての準備

乗り越えた壁

自宅のヘーゼルナッツ畑 香り・味が抜群に良いイタリア産の苗を育てています。

それでも何とか会って頂き、お話を伺うことに成功しました。熱意が伝わったのか、徐々に信頼関係を構築し、開業までの道筋が見えてきました。「店の監修をして頂けるだろうか…」方向性が決まるまで、とても不安で苦しかったです。「許可を頂ければ、あとはやるしかない!」といったん勤めていた会社を退職して、ヘーゼルナッツの苗を自宅の畑に植え、開業準備に注力していきました。

一方で問題が発生しました。それは開業資金です。サラリーマン経験が長く、融資を受けるという大変さを知らず、金融機関から住宅ローンを借りる位の感覚で相談したところ、まったく融資の話を受けてもらえませんでした。60歳手前の人間が新事業を興すというのは、かなりの挑戦だったことに気づきました。

しかしそれでも諦めず、事業計画を練りに練り直し、強い決意のもと金融機関と粘り強く協議しました。熱心な担当者にも救われ、最終的には融資を受けることが出来ました。

 

100時間の修行のスタート

理論の習得と実践で身につける生アイスの極意

一度も冷凍しない、つくりたての生アイスクリーム。

融資の許可を頂いた後、いよいよアイス作りのレクチャーを岡田さんからしていただけました。

お菓子作りの経験が全くなかったので、全て一から学ぶ必要がありました。お菓子作りに必要な理論・知識を丁寧に教えて頂いた上で、お店で接客をしながら生アイス作りの極意を学んでいきました。

一般的なアイスの冷凍温度は-20℃以下ですが、生アイスは-7~-9℃です。生アイスは口当たり滑らかで、素材本来の味が楽しめ、作り立てのフレッシュさを味わえる事が特長です。この唯一無二の生アイスを作るには特殊な技術が必要でした。

どちらかと言うと、アイスを作っているというより、生の洋菓子を作っているような感覚です。

2021年4月にオープン

そして藤森さんは2021年4月16日につくりたて生アイスの店Het’sをオープンしました。オープンして間もなく、ヘーゼルナッツや地元のフルーツを使用した生アイスは地元のお客さん・観光客のハートをがっちりつかみ、人気店となりました。時には店外にも行列があふれる事があります。

2024年4月16日に3周年を迎えました。3周年を迎えるにあたって、生アイスに次ぐ新しい目玉を開発されたそうです。こちらも取材しました。

新たな柱として焼き菓子(フィナンシェ)を開発

その名も「つっちーヘーゼルナッツフィナンシェ」!

(写真左:土屋シェフ) 出来上がったフィナンシェは土屋シェフが太鼓判を押しています。

ヘーゼルナッツ関連商品というと2021年12月にチョコレートをコーティングした「Hettchoco」の製造販売も開始、このお菓子は諏訪大社御献上お菓子にもしていただきました。

次第に生アイスに次ぐヘーゼルナッツを使った看板商品を自分の手で作りたいと漠然と考えるようになりました。

転機となったのは2023年7月。岡田さんがヘーゼルナッツ学校を開校するにあたり、記念式典が開かれ、私もお祝いに駆けつけました。その式典には世界的パティシエであるテオブロマの土屋公二シェフが来賓として招かれており、土屋シェフは参列者に自身が作ったヘーゼルナッツのフィナンシェをプレゼントしていました。そのフィナンシェを食べて、とても美味しく感動しました。

そして、タイミングよく諏訪市の産業連携事業補助金の存在を知り、新たなヘーゼルナッツ商品を開発する挑戦意欲が加速しました。雲の上の存在とは知りつつも、岡田さん経由で土屋シェフにアプローチさせていただき、フィナンシェの作り方をご教授いただくことになりました。本当に自分は色々な人に支えられていると実感しました。

土屋シェフ直々に教えて頂き、満足のいくフィナンシェがようやく完成しました。パッケージ等も開業からお世話になっているデザイナーさんと相談して作り、2024年4月27日から販売をスタートさせます。

今後の抱負

このヘーゼルナッツフィナンシェは2つ目の柱として大事に育てていきたいです。

店名も今は「つくりたて生アイスの店Het’s」ですが、これにヘーゼルナッツフィナンシェを加え、「生アイスとヘーゼルナッツフィナンシェの店Het’s」にしたいと思っています。長いですかね?(笑)

そして現在、ヘーゼルナッツを9か所で栽培しておりますが、店の運営と並行して栽培にも力を入れて収穫量を増やしていきたいと思っています。

ヘーゼルナッツが諏訪の新たな名物になれば嬉しいと思っています。

出来立てのヘーゼルナッツフィナンシェ
表面のトッピング以外にも生地にたっぷりとヘーゼルナッツが使われています。
出来立てのヘーゼルナッツフィナンシェ 表面のトッピング以外にも生地にたっぷりとヘーゼルナッツが使われています。
あの長野県出身の芸人さんも太鼓判を押しています。
あの長野県出身の芸人さんも太鼓判を押しています。
商品名は土屋シェフが命名されました。
商品名は土屋シェフが命名されました。
芽吹き始めたヘーゼルナッツの木
ヘーゼルナッツが諏訪の名産となる日が来ると良いですね。
芽吹き始めたヘーゼルナッツの木 ヘーゼルナッツが諏訪の名産となる日が来ると良いですね。

モノがたりに参加した
立役者からのコメントComment

(株)コナミ農産加工 藤森 明浩

サラリーマン時代は仕事人間で、家になかなかいられなかったようですが、
Het'sを開業してから家族のコミュニケーションが増えたそうです。

profile

1960年生まれ。諏訪市出身。

趣味はゴルフやスキーなど。スキーは指導員の資格をお持ちとのことです。

優しい笑顔が印象的でした。

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