１２年程前に、乳がんステージ４と診断されました。診断されたことをきっかけに「命を賭してみんなの居場所づくりに挑戦したい！」という思いが沸き上がってきました。

そんな中、前職ではパート職でありながらクレーム対応等にも従事しており、自身の営業力を試したい気持ちもあり平成２９年に起業しました。長年、ピンセットを用いた精密作業を担当しており、もともと「精密大好き！」という気持ちが大きかったことから、精密加工部品の検査分類受託業を生業とすることにしました。

創業当時からついてきてくれる従業員が何名もおり、そんな方達に対して責任を果たしたいと思い、彼女たちを正規雇用するために令和５年に法人化しました。

社長である私自身も子育てを経験しており、現在は地区の役員を務めながら母親の介護をしています。急に子供や親が体調不良になることも頻繁にあります。日本中のあらゆる会社が働きやすい環境づくりに努力されているのは承知していますが、どうしても女性にとって働きやすい環境になっているとは言い難い現状を歯がゆい思いで見ており、自分の会社はどんな女性にとっても働きやすい環境にしよう！と強く思い環境づくりに邁進してきました。

弊社では就労時間に決まりを設けず、出退勤時間をフレキシブルに対応しています。急な欠勤にもＬＩＮＥを活用し連絡できるようにしているので、子供の急な体調不良等にも対応できる、と従業員からも好評です。

急な欠勤に対して業務の引継ぎをどうこなしているのか、と疑問を持たれますが、弊社では誰が休んでも対応できるようにチームを組んで仕事に取り組んでいるため、必ず穴を補える業務スタイルとなっています。そのことでお互いを思いやり、共に業務に取り組むチームワーク精神にも繋がっています。

育児や介護をしているとどうしたって逃げ場が欲しくなる時があります。仕事場がそんな女性たちの休息・息抜きになればと思い、居心地の良い会社になるために様々な取り組みに挑戦しています。

女性は出産すると家庭では「ママ」、外では「〇〇ちゃんのお母さん」と呼ばれ、名前を呼ばれる機会がめっきりなくなります。なので、職場ではあえて下の名前で呼び合うように心がけています。”母”ではなく”女性”としての生きる喜びに繋がれば良いな、との思いからです。

学校や地区の役員を引き受けると人前で話す機会が多くあります。しかし、話慣れしていないせいか上手く立ち回れない方が多いと感じており、弊社では朝礼で皆の前でスピーチしてもらうようにしています。こうやって無理にでも話す機会を作り、トレーニングして欲しいとの思いからです。

このような取り組みが口コミで広がり、特に求人情報は出していないのですが、おかげ様で縁に恵まれ、現在は二十代から八十代まで幅広い年齢層の女性が和気あいあいと働いてくれています。