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要素技術への高いこだわり
共進が見据える未来

要素技術への高いこだわり
共進が見据える未来

2020.02.19

株式会社 共進

KYOSHIN co.,Ltd

株式会社共進(以下、共進)は、主に精密機械部品加工を行っている会社です。金属の棒を材料に、磨きや組み立てなども行い、部品としてお客様に納めます。作っている部品は自動車部品が8割程、そのほか建設機械部品や農業機械部品など。これらのほとんどが爪くらいの大きさ。一番大きくても手のひらに乗るくらいの、小さなものです。そしてこの小さな部品を効率よく完成させるために開発したのが「カシメ接合」。独自技術を活かしながら、常にクライアントからの依頼に寄り添い、その信頼関係から国内外に多くの取引先を持っています。

共進 のここがスゴイ!

手間もコストも大幅に削減!
常温で行う「カシメ接合」を開発

精密機械部品を作る際には通常、材料を削り出します。しかし共進は、この切削加工の手間を大幅に省く技術を開発しました。それがカシメ接合です。カシメ接合について、代表取締役社長の五味さんに話をうかがいました。

「切削加工だと、小さい部品を削りだすために大きな材料が必要なこともありますし、大きな材料を扱うためには大きなマシンを使ってたくさん削らなければならないこともあるんです。それならば、細いところには細い材料、薄いところには薄い材料を用意して、別々に部品を作ってくっつければ、ほとんど削るところもないしマシンも小さくて済みますよね。簡単に作れて削る時間も短くなって、量などによっては結果として安く製品を作れることもあります。今は部品の半分ぐらいをカシメ接合で作っていますね。特許は切れていますが、同じようなことをやっているところはあまりないと思います」

カシメ接合とは簡単に言うと、穴が開いたちくわに穴と同じサイズの串を刺すような方法です。串に溝を彫っておいて、ちくわの身に外側から圧力を加えてあげると、その溝に身がめり込んでいくようなイメージです。すると、中の串とちくわが馴染み合って、とても精度の高い接合が出来るそうです。また、この技術は手間とコスト以外にも大きなメリットを持っています。

カシメ接合で作られた部品

「常温で出来るのはありがたいですね。まず、材料の変質が起こらないんです。元々各部品にも別の機能を持たせるために熱処理などをしているので、もういちど熱処理することは避けたい。あとは熱処理すると固くなったり脆くなったりしてしまう材料もあるので、それをしなくていいのも強みです。そして、加工もいちいち温めたりしなくていいので、早く出来ます。自動車のような中~大量生産には向いていますね」

元々は“ひとつの部品に複数の機能を持たせたい”というクライアントの要望に応えるために生まれたというこの技術。同じ材料からひとつの部品を削り出す必要がなくなるので、異種の金属を接合することも可能になりました。

「例えば一部を固い材料で、一部を柔らかい材料で、という風にひとつの部品に別の素材の特性を活かすことが出来るのです。ちなみに『カシメ接合』は先代が命名した名前で、“(力を)加えて締める”といったニュアンスが由来です」

代表取締役社長の五味さん

共進 のここがスゴイ!

守ってきた“要素技術”を応用
医療機器業界への参入やグローバル化も

このようにシーンに合わせて「カシメ接合」を含む色々な切削・接合加工で精密機械部品を製造している共進は、完成品を納品することではなく、あくまでも“要素技術”にこだわっています。 

「外からうちの規模の大きさを見ると“完成品を作ってもいいのではないか”と言われるけど、自分たちはその前にやるべきことがある気もしています。作るものがどんどん変わっていく世の流れの中、要素技術をちゃんと確立させていればそれに対応できる。クライアントからの要望があって、それにどう応えられるかを考えることで、カシメ接合のような新しい技術も生まれていきますしね」

そんな要素技術を生かして、様々な分野への参入を試みています。その中でも今特に力を入れているのが、“医療業界”。

「車を作る拠点が海外に移ってしまったので、自動車の代わりに関われるものがないか探していて、出会ったのが医療業界でした。医療機器の開発を目的として精密加工技術の会社が結ぶネットワークである“ SESSA”にも加入しています。医療機器は人間を相手にしたものなので部品自体も小さく、うちにちょうどいいんです。まだチャレンジ段階ですが、医療機器の部品、例えば内視鏡の中に入っていくハサミの部品や人工呼吸器の部品なんかをカシメ接合で作って、海外にも輸出しています」

良いものを供給するため、素材がどんどん進化していく“技術革新”が起きているという医療業界。コスト競争ではなく、より高い技術を必要とされている土俵で戦おうと挑戦する共進に、自社の強みをうかがいました。

「ほかと違う作り方をしているのは大きな強みですね。あとは、周りにたくさん処理業者や協力してくれる業者がいるので、数や種類などある程度まとめたモノを出せることです」

カシメ接合など技術開発のほかにも、五味さんがお話するように共進は“協業”に積極的。確固たる要素技術を持ちつつ、周りとのネットワークを大切にしながら仕事を進めるその姿勢が、しなやかな強さを感じさせる会社です。

 ※SESSA…医療機器の開発を目的とするネットワーク。世界的にも優れた精密加工技術を持つ日本の企業9社がタッグを組んで、情報交換や研究を行っている。

社内には多くの表彰状が飾られている

共進のこともっと知りたい!

協業について聞かせてください

協業に肯定的な意見をくださった五味さんに、その考えを詳しくうかがいました。

「諏訪の会社は比較的役割分担されています。これは工業地帯に製造業が集まっている諏訪の特長ですね。仕事を頼んだ方が効率的なところがあるので、自然発生的にネットワークはできました。ただ今後どうしていくかというのは、次世代の社長を集めて研修会をしようとしています。昔みたいに、“これ削りました”だけじゃ売れない。モノが売れる時代は終わりつつあるので、一社でやるよりも強みを合わせて、融通し合うことが必要です。情報を一ヶ所に集めて、“うちこのマシン空いてるからやるよ”みたいな、そういう風になっていけばいいなと思います」

社長の趣味は?

「普段オフは講演を聞きに行ったりしていますが、実は推理小説も好きなんです」

恐らく社員の皆さんも知らない趣味を、こっそり教えてくださった五味さん。トリックや伏線を予想しながら味わうのが好きで、日本の作家さんのものなら何でも読むそう。読まない時期もあったそうですが、最近は読書の趣味を再開されました。

「なんだかだんだん語彙がなくなって、日本語をうまく使えなくなっているような気がしていたので、最近また読み始めています。ブックオフに行って適当に選んで、海外出張した時などに読むことが多いですね」

共進オススメのSUWA

とんちん

代表取締役社長の五味さんがおすすめしてくださったスポットは、赤提灯系の居酒屋「とんちん」。実は「吉田類の酒場放浪記」でも紹介された、渋いお店です。しかもここには、1時間1500円で飲み放題という夢のようなシステムが。しかもつまみ2品付きで、千ベロしたい人にとっては天国のようなお店。呑み過ぎ覚悟で挑戦してみてはいかがでしょうか。

  • 住所 : 〒392-0004 長野県諏訪市諏訪1丁目2−17
  • 営業時間 : 19時00分~24時00分
  • 定休日 : 水曜、日曜、祝日

会社情報
所在地 〒392-0015 長野県諏訪市中洲4650
交通アクセス JR上諏訪駅から車で約11分
ホームページ https://www.kyoshin-h.com/
電話番号 0266-52-5030
事業概要 金属製品の製造販売

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