レストランのようなベンチャー企業が農業の見える化をお助け!【Henry Monitor】
レストランのようなベンチャー企業が農業の見える化をお助け!【Henry Monitor】
平安堂諏訪店の裏手へ、モダンな外観をしたレストランのような建物ができたことはご存じでしょうか?
毎月2、3人はレストランと間違えて入ってきてしまうほどのおしゃれな建物の正体は「K-Lab」。K-Labとは親会社である株式会社小松精機工作所の運営する研究開発拠点です。
今回はK-Lab内に会社を構える「Henry Monitor」というベンチャー企業を取材させていただきました。
Henry Monitorは小松精機工作所の関連会社として2020年に設立し、まだ設立から間もないということもあり謎多き企業です。
技術コンセプトは「見えないものをセンサーとAIを使って目に見えるように そして安全と未来をお届けします。」
そんなベールに包まれた企業を解き明かしていくべく、Henry Monitorの研究開発部課長 寺島さんにお話しを伺いました。
まずはHenry Monitorの新技術に迫っていきます。
Henry Monitor のここがスゴイ!
見えないものを見える化!
Henry Monitorの新しい技術【金属編】
Henry Monitorの新技術の一つ目は金属の非破壊検査です。
工場の生産ラインなどで使われる金属の成分を検査する際、従来であれば金属を切り出してから表面をきれいに磨き上げ(研磨)し、それを顕微鏡で分析する手法がとられています。
この手法では分析に数日かかり、製品を一つ残らず検査(全数検査)をするとなると、さらに途方もない日数がかかることになってしまいます。
そこでHenry Monitorが開発した業界初の技術「非破壊検査」を用いれば時間的・コスト的問題も解決することができます。
センサーを使いAIで解析することにより、分析結果をすぐ獲得することができ、全数検査でさえも従来の方法と比べると約50%もの時間短縮が図れます。また金属の切り出しも必要ないため、検査コストの削減も見込めます。
Henry Monitor のここがスゴイ!
見えないものを見える化!
Henry Monitorの新しい技術【土壌編】
Henry Monitorの新技術の二つ目は土壌の成分分析です。
土壌内にある成分を分析する方法は、薬品などで抽出する方法が主流となっています。また従来の方法は、畑全体の中の数か所から土を採取し混ぜて分析をかけるので、採取した箇所の平均的な成分しか分かりません。
もし農家さんが外部に委託して分析するとなると、大体2か月程度と非常に時間がかかってしまいます。種をまいて、分析結果が出たころには収穫の時期になってしまうということもあります。さらに分析結果が出たとしても平均的な値しか分からないので、畑の栄養分のムラに対応できず、部分的に作物の育ちが悪いということも起こりえます。
そこで「センサーとAIで土壌を見える化」することで、タイムリーに土壌の成分を分析し、瞬時にその場で対応することができます。また畑全体の土を測定して得るデータなので、斜面や日陰、河川などの地形や自然環境に合わせた対応策を練ることが可能です。
杖状にしたセンサーを土壌に接するようにして測定を行い、将来的には得られたデータを自動でクラウド上に送信し、AIで土壌データを分析できるようにします。センサーを杖状にせず、トラクターに搭載して測定をすることも可能です。
不足している栄養素や場所が特定が可能になることで、肥料も一部分に撒くだけで良くなり、作業効率の向上・肥料削減など生産性向上につながります。
Henry Monitor のここがスゴイ!
自社で管理する畑での実証実験
現在、Henry Monitorが管理する畑にて、従来の分析方法とセンサーで分析する方法の比較実験を行っているそうです。そこで得られたデータを突き合わせてAI分析を行い、実際にセンサーの信頼性を上げていく取り組みをしています。
センサーを用いて測定をすると、3棟を90分、つまり1棟(およそ50m)を30分で測定することができます。従来の検査方法で実施すると約5か月もかかるため、時間的コストを考えると大幅に削減できています。
分析を続けていると土の理解が深まり、色々なことにチャレンジすることができます。実際にHenry Monitorの畑は、肥料をあげずとも十分に育成できる状態というデータが出ていることから、2年間無肥料でトマトの栽培を行っています。収穫したトマトは高級トマトとして、野菜ソムリエ主宰の料理教室や飲食店、諏訪湖マルシェなどに卸しており、美味しいと好評の声をいただいています。
Henry Monitor のここがスゴイ!
農業を工業化する
工業は農業と違い、1日で製品が出来上がることもあり、何万ものデータが出てきます。しかし農作物などは年間1,2回しか収穫できないものなので、データの積み上げをしにくいのが現状です。
自社のセンサーがあれば何百点とデータが取れるので、工業レベルのデータを積み重ねていくことができます。そのデータを継続的に積み重ねることで、やがてビックデータができ、ビックデータができればAI分析もできていく。私たちはゆくゆくは”農業を工業化”していきたいと考えています。
データを細かくとり大きいデータを作っていくことで、いろいろな分野への活用につながると思います。
Henry Monitorは0からサービスそのものを作り上げることが魅力だと感じます。AIなど新しい技術を駆使してサービス生み出し、そのサービスを新製品と絡めていくという点も会社の強みだと思います。
Henry Monitor のここがスゴイ!
Henry Monitorってどんな会社?
Henry Monitorは、非破壊技術の元となる小松精機工作所から派生して、別会社のチャレンジニストとして誕生し、独自に資金調達をできるようにしたり特許を出願したりしています。
創業は2020年、コロナ禍真っただ中に立ち上げられました。コロナ禍に創業したということもあり、就業管理はウェブ上で完結させるなどの徹底的な分散型ワークが採用されています。
センサーは手持ちサイズということもあり、会社から持ち出し、畑に測りに行き、測定データもクラウド上に自動アップデートされるため、リモートワークに大変適している環境です。
将来的にはセンサーだけ郵送し、現地で測定してもらい、分析はこちらでするという手法であれば、地球上のあらゆる場所でも測定可能になるのではないかと期待に胸を膨らませています。
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「諏訪で新しいことがしたい」。そんな思いに応えるのが、わたしたちのミッションです。
激動する時代に不安を感じる、今の事業に変化がほしい、自社技術の可能性を拡げたい。
諏訪の技術を世界へと伝え、異分野と繋ぐことで
「ものづくり」をアップデートするお手伝いをさせていただきます。
Henry Monitorのこともっと知りたい!
精密な技術が織りなすコマの世界
みなさんは精密コマというものをご存じでしょうか?
精密コマとは、全国の中小製造業が、製造に携わるプロとして、本気で設計・制作したコマのことを指します。製造業としての技術を惜しみなく注がれたコマは、「全日本製造業コマ大戦」にて披露されます。
コマ大戦には寺島さんも出場経験があり、チャンピオンの座に上りつめるほどの実力をお持ちです。
コマにもいろな種類があり、製造業の知識がここでも活かされているそうです。
ハイウェイ温泉諏訪湖
諏訪湖サービスエリア内に在り、高速道路を下りずに入浴することができる温泉なので、旅の途中にリフレッシュできるスポットです。
高台にあるので諏訪湖の眺めもとてもよく、晴れた日に入るのがおススメです。
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