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“ばねのように柔軟”な対応から
創り出される製品たち
デーデックの持つ強みとは

“ばねのように柔軟”な対応から
創り出される製品たち
デーデックの持つ強みとは

2020.11.30

有限会社 デーデック

D-DEC co.,Ltd

平成元年に創業した有限会社デーデック(以下デーデック)は「ばねの製造を通じて社会へ貢献し、社員の生活が向上する会社を目指す」ことを経営理念に、電気機器や通信機器、自動車、玩具に入る精密ばねを作っています。線径0.1~2.0㎜までの圧縮ばね、線径0.05~2.0㎜までのねじりばね、線径0.1~2.0㎜のワイヤーフォーミングや線細工などを行っています。人の目に触れることが少ない部品であるばねですが、実は生活のいたるところに隠れている縁の下の力持ち。オーダーに対する小規模ならではの、まさに“ばねのように柔軟”な対応が、デーデックの持つ強みのひとつです。

デーデック のここがスゴイ!

小ロット、複雑なオーダーも歓迎
“ばね界のなんでも屋さん”

「例えば車の部品って1万点あると言われていて、その中でばね系の部品が2000点なんですよ。要するに5分の1は、ばねで動いている。エンジンなんてばねだらけですからね」

営業部長である田中さんがそう言うように「ばね」は私たちの目に見えないところで、様々な形状となって使われています。試作品のための小ロットや特殊加工、短納期なども請け負い、“ばね界のなんでも屋さん”として親しまれている、有限会社デーデックにてお話を聞きました。

「お客様から依頼があれば、どんなばねでも作ります!極端に言えば、1個でも作ります。お客様がほしいと言えばなるべくその要望に応えようと、数量や納期、できるかぎり社内でやりくりしています。それが強みですね。サービスでお応えする自信があります」

車の部品に使うばねから、高級ボールペンのペン先に使うばねまで、依頼に沿って綿密な打ち合わせを行うという田中さん。時には、大学教授からの概念にとらわれない複雑な依頼もあるのだとか。そんな時も、どうすれば極限まで依頼の内容に沿えるかを考えるのだそうです。

「ばねって機構部品なので、わりと重要な部分に使われるんですよね。必ず動くところに使われますから、ばねが入ってないとだめなんです。ただ、力を調整する箇所なので、設計がいちばん最後になることが多いんですよ。だから納期に関しても今日の明日っていうのは珍しくないですね」

このようにばねは、材料であるステンレスや鋼などの弾性や変形によって蓄積されたエネルギーを使って部品として機能します。そしてばねが正常に機能するためには、“品質”が必須項目です。これはデーデックが最もこだわっている部分のひとつでもあります。

「30年ほど前とは『もの』のつくりかたが明らかに変わっています。昔は正直、作れば売れたんです。でも今は、作るプロセスが求められている。材料がどこのものか、その材料は環境面でどうなのか、工程の中でも有害物質を使っていないか、それぞれのエビデンスを残さなければいけない。そういうことがきちんと保証されたものを作っています。今は製造物責任法(PL法)※もありますから」

日々淡々とばね作りに向き合いながらも、時代のニーズを読むことを忘れずに心掛けているという田中さん。そんなアンテナが、プロセスを含めた品質の求められる時代においても生き残れる秘訣なのでしょう。

※製造物責任法…製造物の欠陥により損害が生じた場合の害賠償責任について定めた法律

一級金属ばね製造 技能士でもある営業部長の田中さん

デーデック のここがスゴイ!

「SUWAガラスの里」で取り扱い
自社製品も発明する“ものづくり愛”

「ものづくりの拠点が海外に移ったんです。ばね屋さんは昔約1万社あったんですけど、今は5分の1の約2000社に減ってしまっています。うちもベトナムに共同工場を持っています。部品としてのばねの需要は、国内では減っているんです」

また、IT化もこれに大きく加担しています。「スマホ開いても、PC開いても、ばねを使う箇所がほとんどないんですよ!」と田中さん。昔はスライド式やプッシュボタン式など、いかにもばねが至るところに使われている携帯電話が存在していました。PCも昔はキーボードにばねが使われていましたが、今は多くがシリコンのラバーなどに取って代わられています。

前取締役社長の大沢さんは、日本のこういった状況からも受注製品だけでなく自社製品を開発したいと考えていました。そうして生まれたのが特製の「ピンチでチャンス」です。この作品は国内最大級のガラスミュージアムである「SUWAガラスの里」のショップにも並んでいる商品。ステンレス材で錆に強く、要望により大きさやデザインを変更することができます。見た目のデザインや形は、アメリカでも評価されたそうです。この試みは、会社の存続とものづくりにかける情熱が形になった物語であると言えるでしょう。

代表取締役社長 宮城さん

婿入りをして会社の後を継いだという、代表取締役社長の宮城さんはこう語ります。

「常に一緒ってことないですよね、ばねをつくっていると。決まったプログラムを組めばいいってわけじゃない、環境とか温度によって仕上がりが変わってきますし。ばねは蕎麦打ちみたいなんです。いつも同じようにはいかないところに苦労はしますけど、面白い方の苦労ですね。無我夢中なので、嫌だと感じたことはないです。ものづくりはやればやった分だけ、もので答えが返ってくるので」

以前はばねとは全然違う建築関係の電気工事の仕事をしていた宮城さんですが、今はまるで生き物のようなばねに対峙する面白さに日々ハマっていっているそうです。「ものを作ってる人ってオンオフはないんじゃないんですかね」と、ものづくりへの熱い想いを語ってくださいました。

デーデックのこともっと知りたい!

地域とつながる取り組みはありますか?

デーデックは2016年から毎年「諏訪圏工業メッセ」に参加し、自社製品などを展示しています。デーデックからばねの説明を受けた来場者は、ばねが身の回りに多く使われていることを知り、一層興味を持ってくれるといいます。

「工業メッセに参加したことが各企業との取引のきっかけとなり、毎年2~3社の新規取引先ができています。継続取引にもなって、売上に貢献していますね。また、出展企業とのお付き合いもできてきました」

こう語る田中さんは実は諏訪の出身ではなく、デーデックの発展に一役買う前には、栃木のばねメーカーで35年程働いていたそう。定年後にバイクや狩猟など様々な趣味を満喫していたところ、知り合いだったデーデックの創業者・大沢さんから電話がかかってきたといいます。

「いきなり『うちの会社に来てくれない?』って(笑)。ちょうど半年遊んで、さあ何かやろうかって思っちゃったときだったんです。それでこの役職(営業部長)を引き受けました。水木金はこっちにいて、諏訪での暮らしを満喫しています」

突然の社長の誘いから定年後に始まった、諏訪での新しいキャリア。「デーデックのばねをもっと広めたい」と、地域とのつながりのなかで育まれる自分のやりがいを語ってくれました。

デーデックオススメのSUWA

諏訪湖

代表取締役社長・宮城さんのおすすめスポットは、諏訪湖。岡谷市から諏訪市、下諏訪町までまたがる周囲15.9㎞の諏訪湖は、見た目にも美しくアクティビティも楽しめる湖です。宮城さんは「子供たちとワカサギ釣りに行きます」と言います。諏訪湖でのワカサギの漁獲量は全国トップクラス。冬でも暖かいビニールハウスのようなドーム船に乗って、“釣って楽しい、食べて美味しい”、ワカサギ釣りを堪能してみてはいかがでしょうか。

会社情報
所在地 〒392-0131 長野県諏訪市湖南3909-7
交通アクセス JR上諏訪駅から車で約15分
ホームページ http://www.d-dec.com/index.html
電話番号 0266-57-0806
事業概要 電気機器、通信機器、自動車、玩具の精密ばね製造

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