ひとと会う

加工した文字は半永久的に残る耐久性を誇る。
誰でも一度は目にしたことがあるかも?
目黒工芸社さんの彫刻技術。

加工した文字は半永久的に残る耐久性を誇る。
誰でも一度は目にしたことがあるかも?
目黒工芸社さんの彫刻技術。

2021.06.03

「半永久的に」文字を残す技術には、もちろん理由がありました

「安全・安心」が要求される防災用品。
案内用の表示板も例外ではありません。
「『いざ』という時に消火器の場所が分からなかったら?」
そんな、万が一の事態が起きないよう、目黒工芸社さんは
職人を育成しながら技術を伝承し、自社の技術を磨き続けて
います。
今回は、同社新事業開発室長の両角耕太郎さんにお聞きし
ました。

目黒工芸社 のここがスゴイ!

「安全・安心」のため、半永久的に消えない文字加工技術

「現在の主な納品実績ですが、諏訪市だけでなく岡谷市や茅野市内で中学校の生徒さんが使用するネームプレートのバッジや、半導体のアクリルカバー、そして防災用品を扱う会社へトンネル内用の表示板等があります。

トンネル内の表示板ですが、防災用品を案内するための文字を加工したアクリル板がメインになります。防災用品の案内文ですから、文字が簡単に消えてしまえば特に安全面に関わることになりますので、半永久的に消えないよう、納品先からは様々で厳格な規格が設定されています。そして、出荷を続けるにはその認証をクリアし続ける必要もあるんです」。

 

「事故の場合」について表示されたトンネル内用の案内板。たしかに、この文字が消えては、万が一の時に危険ですね

「当社の技術で彫刻された表示の文字は半永久的に残ります。『シルク印刷』という技術で表示板に施された塗装は20~30年で薄くなる可能性がありますが、掘られた文字が残れば彫られた文字の判読は可能です。

当社は、昔ながらで残っている製造品を扱っていますが、同業他社も段々と減っている状況ですので、当社1社で市場全体のかなりの量を受注している分野のはずです。

案内板だけではなく、過去のユニークな製造品事例では、防災用に施設内のどこで火災が発生しているか平面図に示すパネルの加工を請け負っていたこともあります。未だCADが無い時代だったので、手彫りで職員がすべて対応したんですよ」。

目黒工芸社 のここがスゴイ!

自社オリジナルの「マイスター制度」を導入し、技術と人を大事に

 

 

「当社では、マイスター制度を導入して社内で熟練した職人を育成できるシステムにしています。

人材育成は自社でも力を入れ、習う側が『見ればわかる』システムではなく、当社の技術であるアクリル加工について、手作業を通じ肌身で感じることで技術の継承を目指しています」。

目黒工芸社さんが誇る社員さんの技術。写真からでも集中している様子が伝わります

「最低でも、既に3年間技術を習得した社員が訓練対象となり、希望に応じて受講できる制度です。当社の専門としているのは『アクリル加工』と『シルク印刷』の2分野ですが、各々の分野ごとで自社の熟練者(マイスター)がレベルを判定します。マイスターになるには、最低でも入社してから10年はかかりますね。

現在、諏訪工場には11名勤務していますが、うち2名がマイスターです。

その分、他社と比べて高品質な製品に対する意識は高く、そうした意識が社内に浸透しているのも当社の強みと自負しています。

それに、諏訪は伝統的にモノ作りの文化が根差していますし、それに応じて働く人の土壌もできていると感じます。そのため、当社でも自社内で加工用の治具が不足しても自分で作り出したり、効率よく仕事を進めようという文化も見られます」。

目黒工芸社 のここがスゴイ!

デザインから納品まで自社で一括対応

「それに加え、製品のデザインから納品まで、全て一括受注して対応が可能なのも自社の強みだと思います。他社の中では、一連の工程の中で対応ができない部分がどうしてもありますが、当社は外注せずに一貫した対応ができます。

ですので、仮に外部のクライアントの方からラフデザインを投げてもらえれば、自社の技術で大概の品は完成できると自負してもいます」。

目黒工芸社 のここがスゴイ!

「SUWAプレミアム」の認定も受けました

「諏訪は良い所ですし観光地でもあります。それまではOEM生産がメインだったのですが、何らかの形で『地域貢献にならないか?』ということで、昨年に新規事業開発室を立ち上げたんです。

そのタイミングで、社内向けに『自社で何かオリジナルの製品ができないかな?』と聞いたんですが、実に様々なアイデアが爆発的に出されたんですね」。

「遊び心」で10年前に作成されたというコースター。「遊び」も「10年前」も感じさせないハイクオリティーな品質です

「女性社員からのアイデアが中心で、ある社員からは、10年ほど前から『空いた時間に遊び感覚で』オリジナルコースターを作っていました。今回は、その社員が考案した新しいアイデアも形になっています。

SUWAプレミアムにも出品しましたが、そのロゴデザインも自社の社員が担当して新しくしたんです。

それに、諏訪だけでなく、東京工場の近くで毎年、目黒川桜まつりという大きなイベントで提灯が飾られるのですが、そのミニ提灯を形にしたのが実は最初の自社商品です。こちらもSNSでの発信もあり、東京工場のある中目黒での認知度も向上していると感じますね」。

SUWAガラスの里内展示用に製造したオリジナルパネル。こちらにも、自社の技術が盛り込まれています

目黒工芸社のこともっと知りたい!

東京の「目黒」でも知名度向上中です

「当社は、茅野市玉川出身の創業者の代である1957年に、東京の目黒で事業を開始しました。その後、1960年に下諏訪町へ諏訪工場が設立され、1980年代に諏訪市の現在地に移転して現在に至ります。
東京の本社工場でも、その地にちなんだ新製品を開発し、SNS等でも発信しています。そのため、目黒周辺でも知名度が上がっているんですよ」

「半永久的に」残る技法で、大事な記念の品も

目黒工芸社さんでは、その卓越した技術により、永く残しておきたい記念品も別途注文があれば作成されているとのことです。
人生の大事な節目に。大事なあの人へ贈るために。様々な品ができそうですね。

目黒工芸社・両角新事業開発室長さん(写真左。右は営業課の岩崎さん)オススメのSUWA

諏訪湖サービスエリア

「おススメの場所は諏訪湖SAですね。諏訪湖を一望できる場所にある恋人の聖地ですし、サービスエリア内に唯一温泉もあります。将来的にスマートインターチェンジが完成すればガラスの里にも近いですし、何より上下線ともに「地元押し」の雰囲気が強く感じられます。自分も、他のサービスエリアを訪れることが多いんですが、他のサービスエリアでは中々見られないと感じますね」。

 

この記事をシェアする

  • Twitterでシェア
  • Facebookでシェア
  • LINEでシェア

お問い合わせContact

「諏訪で新しいことがしたい」。そんな思いに応えるのが、わたしたちのミッションです。
激動する時代に不安を感じる、今の事業に変化がほしい、自社技術の可能性を拡げたい。
諏訪の技術を世界へと伝え、異分野と繋ぐことで
「ものづくり」をアップデートするお手伝いをさせていただきます。

contact_img