ひとと会う

「エモい」を「楽しんじゃえ!」。昭和の名車「ミゼット」再生ストーリー🚙

「エモい」を「楽しんじゃえ!」。昭和の名車「ミゼット」再生ストーリー🚙

2023.01.31

生産終了から半世紀。希少な昭和の名車を再生!

そもそも「ミゼット」とは?

「ミゼット」とは、自動車メーカーであるダイハツ工業株式会社が昭和30
年代から40年代まで生産・販売していた軽自動車規格の三輪自動車です。
そのため、街中で見かける機会はほとんどなくなりましたが、特徴的なモデ
ルなどから根強いファンの方がいる車でもあります。
今回の「ひとと会う」は、そんな希少な車である「ミゼット」を、数十年の
経過により動かなくなった状態から再生したストーリーです。
手掛けられたのは、諏訪市内の事業者である関モータース、関文隆さん。
そこには、どんな思いが秘められているのでしょうか。
それでは関さん、宜しくお願いします!

「ミゼット」再生に取り組んだきっかけは何だったのでしょうか?
関さんが探して保管しておられる「ミゼット」のうちの1台です(再生前)

ミゼットを手掛けた理由ですが、知人でサザンオールスターズのファンの方がいたんですね。その方から、かつて放映された映画「稲村ジェーン(桑田佳祐氏監督作品)」のデジタル化復刻版を観て「映画の中に出てくるミゼットの本物が欲しくなった!」と言われ、それがきっかけになったんです。

もちろん、簡単には手掛けられないので、最初は断っていました。

その代わりに、3輪の「ミゼット」ではなく4輪タイプの「ミゼット2」があるので、「そちらでどうですか?」と提案したりして2、3度お断わりしたんです。

ですが、「ちょっとの距離を普通に乗れればよいので、是非ミゼットを」と再度依頼されました。

その「ちょっとの距離を普通に乗れる」のが一番大きい問題なんですが(笑)、何度も話すうちにお互い覚悟して(覚悟ができて?)挑戦してみることにしたんです。

それに、自分としても何となく「エモい」とか「昭和レトロ」という懐古ブーム的な世相もあったり、またオート3輪のデザインも好きだったことも、きっかけにありましたね。

実際に手掛けてみていかがでしたか?
再生後の「ミゼット」。見事な仕上がりですね

自分は「まず飛び込んでから色々考える」タイプなのですが、実際に始めてから紆余曲折だらけでしたね。

インターネット等で車体探しから始めたところ、数台が見つかり問い合わせてみました。「完全に仕上げてあってある高価なもの」から、「状態があまり良好でないもの」、「関係書類の残されていないもの(再生ができても公道を走れない)」まで色々あることがわかりました。

その中から、「エンジンはかからないが関係書類が残されている」というものを他県の同業者から買い受けました。その車体の方が、「完全に仕上げてあって高価なもの」より安くお渡しできると思ったからです。

とはいえ。とはいえです。

「何とかなるかな」と思いながらも、進めてみると難しいことの連続でした。

そこを、自分のこれまでのキャリアは抜きにして駆け出しの新人に戻った気持ちで、インターネットで調べればなんとかなるかなと思っていたものの、情報はごくわずかでした。結局は、電話や訪問というアナログな方法で伝手(つて)を作っていきました。

また、作業の話ですが、例えば今となっては昭和の部品は手に入らない物も多いんです。そこを特注で用意したりもしましたね。

紆余曲折の中、偶然出会った「師匠」とも呼べる存在
「ミゼット」再生についてお話しされる関さんです。

そのような中、伊豆大島で自動車整備業に関わりながら、趣味でミゼットの修理を個人的に手掛けている人のケースを口コミで知ったんですね。

「実績のある方だから年配の人かな?」と思いながらも思い切ってその方に電話してみたんですが、話してみると自分の想定よりも若い人の声でした。

実は、後になって自分と同年だとわかったんですね。しかも、関わって行くうちに前職で諏訪地方に関わったことがある人という不思議な縁もありました。

そんな共通点もあったからですかね、その人から全面的なバックアップが得られ、再生に向けて一気に道が拓けたんです。

様々なアドバイスも得られたり、自分では入手困難な部品を融通してもらえたり。

コロナの影響もあったので直接会ってはいませんが、自分にとってはまさに「師匠」のような存在ですよね。

それでは、「再生」されてみて感想をお願いします
自らもハンドルを握っている、再生2台目「ミゼット」の横で

そうですね、自分の感覚になりますが、現代の車はデザイン面など完成度が高すぎていて、もちろん、それはそれで「凄い」んですが、その分自分の手を入れる部分って残されていないんですよね。

反対に、ミゼットは、何というか「遊びしろ」みたいな、自分が創造して手を入れられる部分が残っているような。

そのような意味での「凄い」がミゼットにはあると思ってます。ここにミゼットを再生する意味がありますよね。

ただ、やはり費用面や技術面の苦労はもちろんでしたが、メンタル面でもとても苦労しました。

会ったこともない人や知らない人に電話をかけて質問したりしましたからね。

ですが、自分は車そのものよりも新しい物が好きな面もあるかなと感じてます。
なので、「楽しむにはどうすれば良いか」、「どうすれば車をもっと好きになるか」と考えながら取り組みました。

何でもそうですが、楽しむのもしっかり楽しみたいですからね(笑)。

関モータースのこともっと知りたい!

次の「ミゼット」再生の予定は?

 これまで2台の再生を行ってきてわかったこともあります。「とても時間がかかる」点と、「様々な費用がかかる」点です。これは、過去の自分では想像がつかなかった点ですね。そう振り返ると、やはり古い車を再生して販売することは、どうしても高価になり、敷居が高くなりがちかなと感じます。
 そこで、外装だけを仕上げたバージョンのミゼットを看板等として活用していただく、という方法もよいのではないかと思っています。
 そして、「見ているうちにやっぱり走らせてみたくなった!乗りたい!」と思っていただけたら改めて内部再生に着手することもできますし、そのきっかけとして、まずは目に触れていただけるようにしていきたいですよね。
 そうして、走ることだけを前提としない、自分ならではのミゼットの良さ・魅力を提案・発信できたらいいなと思っています。
 

関モータース・関さんオススメのSUWA

立石公園へサイクリングで登るコース

2年前くらいからサイクリングを始めたのですが、諏訪湖畔だけでなく、温泉寺を経由して立石公園まで自転車で登ることもあるんです。高校時代、公園辺りがランニングコースで走ることはりましたが、眺める機会はなかったのですね。改めて公園から見渡すと、やはり立石公園からの景色は良いですよね。

立石公園へは、他のコースから自転車で登ることもありますし、サイクリングロードが整備されているので諏訪湖畔も良いなと感じています。

 

 

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