開発モノがたり

精密加工技術でマジメに遊べ!
県内外でつながりを生んだ
「SUWACKATHON」レポート

精密加工技術でマジメに遊べ!
県内外でつながりを生んだ
「SUWACKATHON」レポート

2020.04.12

速いは正義!精密加工技術でミニ四駆をハックせよ!!

日本が世界に誇る技術の粋を、「ミニ四駆」という子どもも遊べる自動車模型につぎ込んだらどうなるのか……。そんな夢のようなアイデアが、諏訪のものづくり企業と首都圏のクリエイターがタッグを組み現実となった「SUWACKATHON」。2017年10月14日、15日に東京で開催されたコンテスト、そこに至るまでのプロセスを振り返ります。
本気の「遊び」で発信する

「ミニ四駆」というおもちゃをご存知でしょうか? 小型モーターを搭載した自動車模型で、1980年代、90年代、そして現在に至るまで何度もブームを巻き起こしている、日本を代表するホビーです。

特徴は、そのカスタマイズ性。シャーシと呼ばれる土台、そこに搭載されるモーター、外装となるボディーはもちろん、モーターの動力を伝えるギアや、安定性を左右するタイヤなど、シンプルな構造によって、ありとあらゆるパーツを換装、自作しながら、速いマシンをつくることが可能になっています。

それゆえにミニ四駆は、単なる子どもの「おもちゃ」とはいえません。幼少期にはまった大人が子どもとマシンのカスタマイズに取り組んだり、3DCGデータを具現化するデジタルファブリケーションを可能にする3Dプリンター、さらに小型化するIoTデバイスなどのテクノロジーとの融合により、「ものづくり」といってよい次元にまで、そのカルチャーは拡大をつづけています。

諏訪の事業者の技術を発信し、仕事と人材の流入につなげるべく2016年から活動を続けてきたSUWAデザインプロジェクトは、この拡がりに着目しました。ミニ四駆を通じたものづくりを通じて、諏訪がもつ精密加工技術を県外の人々に伝えることができないかと考えたのです。

初年度となる2016年の活動では様々なクリエイターとのコラボレーションを敢行。それを通じて、諏訪の技術が多くの領域の方々に関心をもってもらえることがわかっていました。諏訪の「本気」をミニ四駆という「遊び」につぎ込めば、多くの人々を巻き込むことができるという手応えがありました。

コンセプトから「おもちゃ」をつくる

こうして本気で諏訪の技術を活用し「速い」ミニ四駆をつくる大会「SUWACKATHON」はスタートしました。まずは、このプロジェクトに参加してくれるクリエイター/エンジニアを募集。そこには「ミニ四駆」「諏訪」「ものづくり」というキーワードに引かれた23名が、建築士、システムエンジニア、テクノロジーディレクターといった多様な分野から集結しました。彼らとコラボレーションすることになるのは、諏訪市が誇るものづくり事業者7社。電子機器「(株)エー・アイ・エヌ」、金属加工「(株)共進」、金属部品製作「(株)小松精機工作所」、バネメーカー「(有)デーデック」 、レンズメーカー「(株)nittoh」、金属研磨「(株)松一」、金属加工「(株)丸安精機製作所」といった、こちらも得意分野が異なるプレイヤーが待ちかまえます。

8月半に工場視察&マッチングツアーを実施し、参加企業の(株)エー・アイ・エヌも訪問。大型マシンの動きにみんな釘付けです。

8月中旬、参加者たちは諏訪に足を運び、各事業者たちの工場を見学する一泊二日のツアーを行いました。そこで彼らが目撃したのは事業者それぞれがもつ技術の粋。たとえば、『(株)松一』では精密に研磨された杯の内側が、お酒を注ぐとキラキラと乱反射する美しい酒器「月追揺杯」に心魅かれ、ミニ四駆のコンセプトを思いつくエンジニアも。3〜4名でチームを結成し、コンセプトを練りながら、各事業者とともに実現へのステップを重ねていきました。

ツアーでは(株)松一の見学も。鏡のように磨かれた金属にうっとり。
予想を超えるミニ四駆を生むために

諏訪から帰った参加者たちは早速コンセプトを練り上げ、2カ月の制作期間がスタートしました。7つのチームそれぞれがコンセプトから思い描いたミニ四駆……。すべてのチームのプロセスをお伝えすることはできないのですが、ここでは「松一」とコラボしたチーム「松一×乱反車」のプロジェクトの過程をご紹介します。

一番最初に着想したコンセプト
一番最初に着想したコンセプト
チームメンバーで出し合ったイメージ
チームメンバーで出し合ったイメージ
ボディのイメージスケッチ
ボディのイメージスケッチ
イメージとなる3Dモデルを元に、松一に研磨を依頼した際の資料
イメージとなる3Dモデルを元に、松一に研磨を依頼した際の資料

果たして、どんなミニ四駆が生まれたのでしょう……。

「本気の遊び」が生んだつながり

レース前日には、参加チームはもちろん、諏訪から事業者が集まり、最終組立を行いました。ようやく2カ月の成果が目の前に。たとえば電子機器を手がける「(株)エー・アイ・エヌ」とコラボして生まれた「SuwaNinja(Ver:A.I.N)」は、一見なんの変哲もないマシンながら、スマホで操作できるというハイテク仕様に。バネメーカー「(有)デーデック」の特注バネをサスペンションにつかった「スプリングマシン2号」など、7つのマシンそれぞれが事業者の特色を生かした独創的なマシンに仕上がりました。

それぞれ、上段左から「(株)nittoh」、「(株)nittoh」、「(株)nittoh」、「(有)デーデック」、「(株)小松精機工作所」、中段左から「(株)共進」、「(株)エー・アイ・エヌ」、「(株)松一」、「(株)松一」、下段左から「(株)丸安精機製作所」、「(株)丸安精機製作所」が手がけたマシン。

そうして迎えた大会当日。7つのチームが総当たりでレースを繰り広げます。そこには、目で追うことが難しいほどの速さでコースを駆け抜けるマシンの姿が……。ほかにも、さらに目立つのは、その「速さ」だけではありません。「(株)共進」とタッグを組んだ「やっぱチョメズ」は、諏訪大社を模した独創的な形状でありながらスムースなコーナリングで会場を湧かせました。

レース開始です!

技術という素地をもとに、クリエイターの独創的なアイデアを盛り込んだそれぞれのマシン。優勝したのは、すべてのレースで1位を獲得したLEDが輝くマシン「LIGHT FACE RACER / NANO METAL RACER」です。チームの調整による速度と、レンズメーカー「nittoh」の強みによる見た目のインパクトが鮮やかに融合した圧巻の結果でした。

そんなフィナーレを迎えた「SUWACKATHON」ですが、実は新しいものづくりのスタートとなりました。たとえば、「(有)デーデック」と「(株)小松精機工作所」ではデザインパネルの共同開発が始まり、これまでなかった諏訪の事業者間での横のつながりが生まれ始めています。また審査員として参加したカーデザイナーの根津孝太さんは、デーデックのバネをつかったコンセプトモデルを制作しました。

常に会場で見られたのは、レース中の大人たちが歓声を送りながら自分たちがつくったマシンを見守る姿でした。何かに夢中になれば、技術を通じて新しいつながりが生まれる。「SUWACKATHON」は、SUWAデザインプロジェクトの向かっている方向が間違っていないことを証明したのです。

参加者のみなさんと。また楽しいイベントを諏訪で開催しましょう!

モノがたりに参加した
立役者からのコメントComment

profile

no image

この記事をシェアする

  • Twitterでシェア
  • Facebookでシェア
  • LINEでシェア

関連記事Related articles

お問い合わせContact

「諏訪で新しいことがしたい」。そんな思いに応えるのが、わたしたちのミッションです。
激動する時代に不安を感じる、今の事業に変化がほしい、自社技術の可能性を拡げたい。
諏訪の技術を世界へと伝え、異分野と繋ぐことで
「ものづくり」をアップデートするお手伝いをさせていただきます。

contact_img