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目指すは地域にとっての「食のインフラ」
株式会社テンホウ・フーズ 
大石壮太郎社長(2020/6/12インタビュー)

目指すは地域にとっての「食のインフラ」
株式会社テンホウ・フーズ 
大石壮太郎社長(2020/6/12インタビュー)

2020.06.17

株式会社テンホウ・フーズ

 「みんなの○○」。
 「ギョウザの○○」。
 「タンタン麺と言えば○○」。
 「ソフトクリームも注文できる○○」。
 それでは、「○○」に入る店名は?皆さん分かりますよね。
諏訪市や諏訪地域にゆかりのある人なら、一度は食事をしたり、少なくとも一度はその名を聞いたりしたことがあるはず。
「テンホウ」。
今では諏訪市や諏訪地域だけではなく、長野県全域にも店舗が増え続け、地域に愛され続けるテンホウさんです。
 今回は、テンホウさんの事業のみならず、地域に対する日頃からの思いについて、同社の大石社長さんにお話しを聞かせてもらいました。

まずは、テンホウさんの事業や魅力、現状についてお教えください

テンホウ城南店さん。市役所職員にとっても欠かせない「食のインフラ」です

 今回の新型コロナウィルスの影響を受けて、改めて「テンホウ」のポジションは、地域にとって「当たり前の存在」であること、そして飲食業としての「地域のインフラ」を目指さなければならない!と痛感しました。例えば、人々が暮らす上で欠かせない電気や水道みたいなポジションになることですね。

個店の状況を見ると、一時は売り上げが半分以下になった店舗もあり、「どうしたものか」と落ち込むことありましたが、幸いスタッフの方々からも「怖いけど、お客さんのためにお店やりましょう」と言ってきてくれたり、積極的に予防対策してくれたり、大雪でも台風でも営業するテンホウの伝統、DNAがあるなと強く感じ、感謝しております。もちろん理念は「健康第一」なので、長野県から出された自粛要請に応じ開店時間を時短したり、感染予防対策はしっかりしながら可能な範囲での営業ですが、理解ある方々に恵まれて感謝ばかりです。

ここで売り上げは以前の8割ぐらいまでに戻りました。しかし、お客様の客層を見るとテンホウが強みとしてきた家族連れがまだ減ったままの状態です。今、ご来店して頂いている方々は、個人のお客様や、これまでずっと支えてくださったファン・常連様が多い。本当にご来店いただけることがありがたいな~としみじみ感じております。さらに、テンホウにとって改めて「3世代のご家族」のご利用は強みであり、コンセプトであり、また、普段使いのテンホウそこが原点だったな、と思っています。

現状だと、土曜日や日曜日の客足が減ったままなので、この状況がいつまで続くのか、果たして以前のように戻るのか戻らないのか。読みにくい状況がしばらく続きそうですね。

 

 

難しい状況下ですが、今後の展望についてはいかがでしょうか?

テンホウさんの「テイクアウト」といえば、餃子ですよね

これまでテンホウは、「なるべくリーズナブルに、多くの方に喜ばれる」というスタイルで営業していました。それが、お客様の数を制限しなければならない現状では、価格の面をどう工夫して行くか考える時期かもしれません。

例えば、テイクアウトの浸透も必要です。実は前々から持ち帰り可能だったメニューでも、常連さんは「えっ、持って帰れたの。知らなかった」という反応も多くありました。コロナが落ち着いたとしても、知っていただけた分、既存の対面販売にプラスオンで計上可能になるように感じています。

お弁当の販売も市場全体では増えたわけですけど、そこは反対にSDGsの観点、プラスチックやゴミ問題は避けて通れません。そこを見ると、昔の出前のように、いっそ岡持ちで丼ごと運んじゃうとかも案がありますが、器の回収を考えると2度手間だからなかなか難しいところですね。

その他では、コロナショックをきっかけにして物販にもより力を入れていきたいと思っています。たとえば、今回飲食店は苦戦していますがスーパーは業績を伸ばしています。農業もいいですね。複数の事業展開を組んで、実店舗での飲食が減少に転じたとしても、別の何かが収益の柱となるように立ち上げておくことで変化に対応できるようになると考えています。

それに、今回のコロナで、戦後発展した金融資本主義から、物と物との直接交換が改めて見直されて、物そのものの価値が大事になった印象もあります。商売の原点ですね。

諏訪市内で事業を行っているのは、どのような理由からでしょうか?

諏訪市は何といっても「テンホウ」創業の地です。思い入れがあります。と言いながらも、実は諏訪市内にある店舗は意外に少なくて3店舗なんですよ(笑)。店舗数だけで見るなら茅野市の方が多いくらいですね。だから本当はもう少し諏訪市内にも増やしたいんです。

他市町村だと、タケダストアーさんや生鮮市場さんとかスーパーにも卸していますが、よく考えたらこれも諏訪市内ではないんですよね。今後は、諏訪市内でも色々なところと手を組んで、販売のコラボレーションを進めていきたいですね。

あと、自社の知名度を上げることが他地区から人を呼ぶという地域貢献に繋がると思っていて。おかげさまで諏訪地域外の方や、県外から来る人からも、「テンホウは諏訪の会社でしょ」と言われるくらいになってきましたが、諏訪に人を呼ぶ、プラスもっと大きく「信州の企業」として誇っていただけるようになれることを目指したいですね。

ここの所、長野県内だけでなく、全国ネットのテレビ番組でも取り上げられましたね

全国にその名が知れ渡った「チャーメン」。美味しそうです

最近だと、野沢菜餃子を取り上げてもらった時は反響が凄かったです。放映のすぐ後から通信販売の注文が殺到しちゃって。朝までに400件くらいご注文をいただき驚きました。今でも継続して売れ続けています。

昨年も、ある番組でチャーメンを紹介してもらった後もすごかったんです。そこから、来るお客さん来るお客さんみな「チャーメン」「チャーメン」「チャーメン」でしたからね~。チャーメンは太麺を使用しているんですが、夕方全店舗へ追加配送するくらいすごかったです。

テレビの影響は大きいな~と感じたけど、取り上げてくれる番組や紹介してくれる人にもよりますね。

ただ、せっかくお客様がお越しくださっても、自社店舗の能力のキャパを超えてしまうと、混雑していて入れなかったりご満足いただけない事例も多々あります。そこはテレビの怖い所だなとも思っています。

あと、新規のお客様は、お召し上がりになられても味の合う合わないがあって、不満を口にする人もやはりいます。さらに、地元の常連さんがお店に入れなかったり、いつもと違ってお待たせしたりが残念。やはり、これは「地域にとってのインフラ業」を目指す身としては好ましくないなと、やり過ぎは良くないなと感じました。

社長業として、普段はどのような仕事をされていますか?

色々な人と実際に会う。そのご縁で刺激やインスピレーションをもらい、そこから新しいアイディアや取り組みに結び付けていたのですが、コロナの影響でここ2ヶ月くらい人と会うことが全くなくなって、そのせいなのかアイディアも何も出てこず(笑)。人と会わないことはものすごいリスクだなと感じるようになりました。

次にどんな新しいことをやるか。価値を生むか。人との繋がりが大事だったなと、こちらも改めて感じたことです。

特に、自分がインスピレーションを感じるには、今まで話したことのない人や、何か周囲と違う新しいことにチャレンジしている人と接するのが大事。

必要に応じてWEB会議もやってみたけど、自分にとっては苦手で合わないなと。やっぱり直接会って自分の目で、雰囲気で、五感で感じないと伝わってこないものが多い。電話でも、表情が見えないから相手の声しかわからないし。「テレパシー」っていうのかな?直接会うと相手の何十倍も感じられますよね?

結局、自分たちだけで出るアイディアは限られていて、周りから得られるヒントは大きいと感じます。自分が「やりたい」というと、自然と人も集まるし、逆もそうですからね。

そして、社長の自分だけでなく、店長一人一人もそうなればものすごい活性化につながるのかな。そのような人を増やしていきたいです。

以前は、自分から研修会に出て行ってました。自分が「苦手だな」と感じる分野でも、飛び込むと意外な繋がりができるものです。長野市のタカチホさんとのコラボ「ポテトチップス」や、八幡屋磯五郎さんとの「ラーメン七味」も、研修で同席したのがきっかけになって生まれたんですよ。どこにきっかけがあるか分からないな~と思います。タカチホさんの内部でも、「なぜ諏訪市のラーメン屋さんと組むの?」と社員から言われたみたいですが、ご縁の勝利ですね。だから、ちょっとでも気になるなら行動した方が良いですよ。

本業の他にも、新しい展開もあるとお聞きしましたが?

地域への熱い気持ちを語る社長さん

商売において、日本も地域も一番の問題は「人口減少」だと考えています。お客様もスタッフも減るからです。だから地域に人を呼び、最終的には住んでもらう作戦が必要です。

諏訪地方で実現に向けて動き出しているトライアスロン大会も、諏訪に人を呼びたいから携わっているんです。「自分で参加するの?」って言われますが、、、いえ、実はやろうとは思っていませんね(笑)。

諏訪インターや上諏訪駅で降りるお客さんを増やすには、「目的地」を増やしていかないといけないと思ってます。諏訪市も観光地だけど、訪れる客数は減少の状況。ここが増えれば経済も必ずよくなります。うちも、もっと湖畔に人出が増えれば、間欠泉センターに支店も出してみたいね~なんて話してます。(笑)

そう考えると、行政のお仕事も、立場としてはどうしても平等性などが求められると思うけど、情熱ある人に対して、その熱量に応じて優遇、えこひいきすることも大事かな、と思ってますがどうですか?

「地域を盛り上げよう!」とリスクを取って意欲を見せる人や企業を動きやすくする!昇り龍のスパイラルへ!諏訪市さん期待しております。(笑)

 

は、はい(汗💦)。他にも、新しい展開への思いは?

さっきのトライアスロン大会の話のきっかけは、観光業からではなくて諏訪の若い精密・製造業の社長さんたちから始まった話なんです、この諏訪の製造業と観光業が融和すればめちゃくちゃ力が出ると思う。

例えば、新潟県の燕三条のように、製造業と観光業が繋がって、諏訪圏工業メッセも見学者の数を増やしたり、そこで飲食業と観光業がおもてなしで繋がることにもなるし。市内のあらゆる企業が手を組んで、地域内経済を豊かにして明るい未来へつなげたいですね。

あと、色々な会議に出席させていただく機会があるけど、自分が参加者の中で一番若いことが多い。段々と若い人が活躍してくれたら嬉しく、心強いのにな~と思うこともあるかな。

お忙しい中と思いますが、オフタイムの過ごし方は?

社長さんが熱意を持って取り組んでいる事業の一つ、「龍神プロジェクト」

昔は、夏はキャンプ、冬はスキーでアウトドアが好きだったけど、今は仕事が趣味になっちゃってますね。あとは神社巡りとか?会社を経営する身としては、今回のコロナもそうですが神仏の力を信じないわけには行かない。結局、最後は見えない力、運ですからね~。

昨年度の諏訪市産業連携補助金を活用した「龍神プロジェクト」を通じて、諏訪の龍神を拡げていきたいと動いてます。これは自分の使命とも思っているんです。

ここは、調べれば調べるほど「諏訪は面白い」と感じますよ!諏訪はね、伊勢神宮や出雲大社、鹿島神宮と並ぶスーパーパワースポット!歴史も深い!神仏習合、仏教も面白い!それを少しづつ世に広めていきたいですね。

本日はお忙しい中、大変ありがとうございました

(2020/6/12 諏訪市産業連携推進室担当者がインタビュー実施)

テンホウさんのこともっと知りたい!

新社屋では工場見学も可能に

 平成30年に本社を建ててからこっそり始めています。実は長野県の食品工場で、同じ建物内に食品製造に必要な保健所の営業許可書を7つも持っていて見学できるのはうちくらいなんですよ。だから、この特色をお見せして、子供たちの食育面などで活かせられればいいなと思って始めました。実際、小学生や養護学校の生徒さん、大学生などの見学を受け入れています。
観光で、中国や台湾からインバウンドも少しだけ受け入れていますが、「ここは諏訪大社の4社を全て直線で結んだ結界の中に建設されていて、八百万の神様のパワーが降り注いでいるんですよ~」と話すと「おおっー」と、とてもありがたがられました。(笑)

 見学は、事前予約が必要だったり、人数によって応相談です。

テンホウさんオススメのSUWA

大石社長さんおすすめのSUWAは「諏訪大社前宮」

○最後になりますが、社長さんのおススメのスポットは?

諏訪大社上社の前宮かな。あ、ここの所在地は諏訪市内でなくて茅野市だけどいいですか?(笑)。前宮は、諏訪大社4社のなかで唯一、御柱4本全てを直接手で触れることができるんですよ。他の3社は、御柱の一部は境内の中にあったりして触れないんです。

そして、お宮の左側に「水眼」という小さい川が流れているんだけど、4本の柱を巡る際に渡らないといけない。水を渡ることで穢れが祓われる。「禊(みそぎ)」になる。そして「ご神陵」、上一位「所政社」。これらは4社でも最大のパワースポットだと思う。

さらに、ここから諏訪方面へ向かう途中にある巨大な磐座「小袋石」、神長官守矢史料館の高過庵・空飛ぶ泥舟、200段の階段を登る「北斗神社」。そして本宮での大国主様参拝、すずり石参拝を経ての本殿参拝の流れへと。。。

いやいや、これ以上話すと内容が3時間コースになっちゃいます(笑)。でも、諏訪は本当に面白い。それを少しづつ広めていきたいです!

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